「取消権」と聞いても、多くの方はピンとこないかもしれません。
成年後見制度の目的は、判断能力が不十分な方を支援することです。
ですから、法定後見であれば、判断能力が不十分な方が行った意思表示を、権限の範囲にもよりますが後見人等が取り消せる場合があります。
例えば、本当は買う気も必要もないのに、本人の判断能力の低下につけ込んで高価な商品を売りつけられたケースです。
この場合、契約自体が適法であれば、一般的には契約を取り消せないのが原則です。
しかし、後見が開始していれば、後見人は契約を取り消せる権限を付与されています。
任意後見には、「取消権」が想定されていなかったのか、無いんですね。
任意後見であっても、後見が開始すれば、上記のように本人が不当な契約を結んでしまう可能性がありますので、取消権があったほうがよいとは思うのですが、ありません。
そこは、任意後見のデメリットとも言えます。
もっとも、本人の意思を尊重する観点から、日常的な取引については全ての成年後見制度で取消権はありません。
日常的なスーパーでの買い物が、例として挙げられます。